昔からからだの全血液量の三分の一を失うと、生命が危ないといわれています。同じ量の出血でも、けがで急速度に大量出血したときは、手術などでじわじわと出血したときと比べると、はるかに危険です。だからこそ、その出血を止めることが、あらゆる創傷の応急処置の出発点となるのです。
出血が弱いといって軽く考えたり、ひどすぎるといって止血を放棄してしまったりしたら、助かるけが人も助からなくなります。けが人の症状、傷の程度をすばやく判断し行動することが要求され、そのためには、出血の仕組みについての基礎知識を知っておく必要があります。
● 血液の凝固作用
血液が創傷によっていったん外に流れ出るとまもなく、にかわのように固まり始めることは、指先を切ったり、転んでひざをすりむいたりして出血したときに、よく経験するところです。この固まった血液(凝血)は、傷を一面におおって止血作用をするとともに、外部からの細菌の侵入を防ぎます。つまり、これらは、血液のもっている出血に対する防御・保護作用なのです。
この作用を助けるために、いろいろの方法を講ずるわけですが、圧迫包帯などもその一つの例です。圧迫包帯を施し、出血の量を少なくするわけですから、むやみに包帯を交換して、せっかくふさがった傷口を再び破るようなことは避けなければなりません。
● 止血の速度
血液に凝固作用があるといっても、太い血管が切れたときには出血はなかなか止まりません。出血死に至ることもありますから、一刻も早く医師の手当てを受けることが大切です。出血の速度は血管の太さばかりでなく、切れた血管が、動脈か静脈かによっても異なります。動脈の血液は、傷口から勢いよく飛び出し、鮮紅色であり、静脈の血液は、溢れるように出てくるのがふつうで、黒っぽく見えます。
しかし両方の血管が密集している頭部は、肝臓や腎臓などの内臓のけが、あるいは深い傷などの場合は、両方の血液がどくどく出てくるのがふつうです。
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