心臓は胸骨下半分の後方から左乳の後方にわたる範囲にあって、だいたい握りこぶしの大きさです。それで、 そのあたりが痛むとき、多くの人は真っ先に心臓がやられたのではないかと心配します。
胸には心臓のほかにも大きな血管や肺など、生命に直接関係のある重要器官があります。胸痛には、まさに死と隣り合わせのものさえあるのです。
しかし胸を打ちつけたり、胸の筋肉を使いすぎたりしたために起こる胸痛などは、なんの心配もいりません。時がたてば自然になおります。
胸痛には、このように非常に意味の軽いものと、極端に重大なものとがあります。大づかみにいいますと、表面的な痛みはだいたい心配のないものが多く、深部の痛みにはいろいろ重大のものが含まれています。
このように考えると、問題は画然と整理されたようですが、実際には両者がからみあって、どちらとも紛らわしいあらわれ方をすることが少なくありません。
というのは、表面的な痛みの場合でも、不安感からくる心理的な影響で、内臓からくる痛みのように受け取られることがありますし、また、内臓痛が表面的な痛みを伴って、むしろその方を強く意識することがあるからです。
内臓痛に付随する表面的な痛みを関連痛あるいは放散痛といいます。狭心症の痛みが、左肩や頸部の方に波及するのは、よく引き合いにだされる放散痛の好例です。
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